長野地方裁判所飯田支部 事件番号不詳〔2〕 判決
主文
被告人を懲役四月に処する。
但し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。
押収にかかる現金三千円(昭和二十七年証第五十四号の三、)及同現金七千円(同号の四、)は何れもこれを没収する。
被告人より金三千百円を追徴する。
理由
被告人は昭和二十七年十月一日施行の衆議院議員総選挙の選挙人にして同選挙に長野県第三区より立候補した議員候補者中島巖の選挙運動をした者であるが、
第一、昭和二十七年九月二十二日頃、長野県下伊那郡川路村第四区二千五百六十一番地安藤長造方に於て、同候補者の選挙運動者今村周蔵より同候補者に当選を得しめる目的を以つて同候補者のため投票並投票取纒め選挙運動をなす報酬及運動資金として供与されるものであることの情を知りながら現金一万円の供与を受け、
第二、同年九月二十三日頃、飯田市本町二丁目十二番地同候補者の選挙事務所に於て、同選挙者の選挙運動者鎮西喜久雄より同候補者に当選を得しめる目的を以つて同候補者のため投票並投票取纒め選挙運動をなす報酬並運動資金として供与されるものであることの情を知りながら現金一万円の供与を受け
たものである。
(証拠省略)
法律に照すと、被告人の右各所為は公職選挙法第二百二十一条第一項第四号に該当するところ所定刑中何れも懲役刑を選択し以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条を適用し犯情の重い判示第二、の罪の刑に併合加重をなしその刑期範囲内に於て被告人を懲役四月に処し、情状右刑の執行を猶予するを相当と認め刑法第二十五条を適用し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。主文掲記の各金員は被告人が判示第一、の犯行により収受した利益であるから公職選挙法第二百二十四条によつてこれを没収すべく、被告人が判示第二、の犯行により収受した利益の中供与者に返還した金六千九百円を除く金三千百円はこれを没収することができないから同法第二百二十四条により被告人よりその価額金三千百円を追徴する。
よつて主文の通り判決する。(昭和二八年五月二八日長野地方裁判所飯田支部)